資料【T】
日本工業規格(JIS) 使い捨て検査・検診用ゴム手袋 T9115:2000
序文
この規格は、1994年に第1版として発行されたISO 11193, Single-use rubber examination gloves-Specificationと対応する部分(寸法、試験方法、1種の性能)については対応国際規格を翻訳し、技術的内容を変更することなく作成した日本工業規格として追加している。

1.適用範囲
この規格は、手術を除いた検査、検診、治療行為及び汚染された医療材料を取り扱う場合、患者及び使用者を交差感染から守る為に使用する滅菌及び未滅菌の使い捨て形式のビニル手袋(以下、手袋という。)について規定する。またこの規格は、手袋の表面が平滑なもの及び表面の一部又は全面が粗面の手袋にも適用する。

備考
この規格の対応国際規格を、次に示す。
ISO 11193 : 1994 Single-use rubber examination gloves-Specification


2. 引用規格
次に揚げる規格は、この規格に引用されることによって、この規格の規定の一部を構成する。これらの引用規格のうちで、発行年を付記してあるものは、記載の年の版だけがこの規格の規定を構成するものであって、その後の改正版・追補には適用しない。発行年を付記していない引用規格は、その最新版(追補を含む。)を適用する。

JIS K 6250 加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの物理試験方法通則

備考
ISO 471 : 1983 Rubber-Standard temperatures, humidities and times for the conditioning and testing of test pieces,
ISO 1826 : 1981 Rubber, vulcanized-time-interval between vulcanization and testing-Specfication,
ISO 4648 : 1991 Rubber, vulcanized or thermoplastic-Determination of dimentions of test pieces and products for test purposes,
ISO 4661 : 1993 Rubber, vulcanized or thermoplastic-Preparation of samples and test pieces-Part 1 : Physical testsからの引用事項は、この規格の該当事項と同等である。

JIS K 6251 加硫ゴムの引張試験方法


備考
ISO 37 : 1994 Rubber, vulcanized or thermoplastic-Determination of tensile stress-strain propertiesからの引用事項はこの規格の該当事項と同等である。

JIS K 6257 加硫ゴムの老化試験方法


備考
ISO 188 : 1982 Rubber, vulcanized-Accelerated aging or heat resistance testsからの引用事項はこの規格の該当事項とほぼ同等である。

JIS Z 9015 計数調整型抜取検査

備考
ISO 2859-1 : 1989 Sampling procedures for inspection by attributes-Part 1 : Sampling plans indexed by acceptable quality level (AQL) for lot-by-lot inspectionからの引用事項はこの規格の該当事項と同等である。

JIS T 9010 ゴム製品の生物学的安全性に関わる試験方法

3.種類
手袋の種類は、使用する原料によって、次のように分類する。
a) 1種 天然ゴムラテックスを主材料とした手袋
b) 2種 合成ゴムラテックス、天然ゴム溶液又は合成ゴム溶液を主材料とした手袋


4.材料

4.1 主材料
手袋の主材料は、天然ゴムラテックス、合成ゴムラテックス、天然ゴム溶液又は合成ゴム溶液とする。
参考 人によっては天然ゴム由来の水溶性蛋白質に敏感な者があり(即時型T型アレルギー)、他のゴム配合の手袋を必要とすることがある。

4.2 副材料
a) 手袋の脱着を容易にする為、表面処理剤、滑剤又は打粉を使用することができる。
b) 着色剤を使用する場合は、安全なものでなければならない。
c) 表面処理剤として使用する材料は生体に害のないものを使用し、必要に応じて、その材料を開示しなければならない。


参考
人によっては特定なゴム配合剤に敏感な者があり(遅延型W型アレルギー)、他のゴム配合の手袋を必要とすることがある。

5.呼び及び寸法 手袋の呼び及び寸法は、表1に適合しなければならない。ただし寸法は、8.1によって測定する。

表1 呼び及び寸法 (単位 mm)

呼び< 全長 厚さ
呼び >しょう(掌)部の幅 >許容差 平滑部 粗面部
>SS

S

M

L

LL
70(*1)

80(*1)

95

110

120
±10 230以上 0.08以上 0.11以上
注(*1) SSは73、Sは85でもよい。

6. 品質

6.1 外観
手袋の外観は、次の各項目に適合しなければならない。
- 形状、肉厚ともに均整である。
- きず、気泡、はん点、汚れ、異物、その他使用上有害な欠点がない。

6.2 水溶性(ピンホール試験)
手袋の水密性は、8.2によって試験したとき、表3に適合しなければならない。

6.3 性能
手袋の性能は、8.3によって試験したとき、表2に適合しなければならない。
なお、試験片を平滑面から採取できず、粗面部から採取しなければならないときは、表2の性能値の90%以上とする。

6.4 水溶性蛋白質
手袋の水溶性蛋白質は、必要がある場合には8.4によって試験を行い、性能値は受渡当事者間の協議による。

表2 性能

試験項目 性能 主な試験条件
1種 2種
老化前 引張強さ MPa
切断時伸び %
21以上
700以上
15以上
500以上
JIS K 6251
老化後 >引張強さ MPa
切断時伸び %
16以上
500以上
11以上
450以上
JIS K 6257
70±1℃ 168h_ 02h

7.サンプリング方法及び検査
手袋の検査は、JIS Z 9015に規定する方法によって行い、検査水準及び合格品質水準(以下、AQLという。)は、表3に適合しなければならない。
なお、ロットの大きさが特定できないときは、大きさを35001〜150000と推定しなければならない。


表3 検査水準及びAQL

項目 検査水準 AQL
寸法(幅、全長、厚さ) S-2 4.0
水密性(ピンホール) S-4 2.5
物性(老化前、老化後) S-2 4.0

8. 測定及び試験方法
8.1 寸法の測定
手袋の寸法の測定は、図1及び図2に示す箇所を次の事項によって行う。
a) しょう(掌)部の幅 手袋のしょう部の幅は、指方向に直角にしょう部の最も広い箇所を押さえ、被膜が密着した状態で平らにしたときの両幅の距離とする。
b) 全長 手袋の全長は、手袋の甲部に沿って中指の先端から手袋の下端までの距離とする。
c) 厚さ 手袋の厚さは、図2に示す次の箇所をJIS K 62507.7に規定する測厚器を用いて測定する。
1) a点は、中指の先端から約15mmとする。(図2のAの距離。)
2) b点は、しょう部のほぼ中央とする。



8.2 水密性試験(ピンホール試験

8.2.1 装置・器具
a) 内径約5cm、外径約6cm、長さ約40cmの筒
b) 手袋と筒とを固定するための締め金具
c) 手袋内部に水を満たしたとき、それを垂直に保持するためのつり下げ具
d) メスシリンダー


8.2.2 試験方法
a) 手袋のそで部開口部分を上向きにし、そこに筒を取り付け締め金具でしっかりと固定する。ただし、手袋のそで部はそで口より4cmまでを筒に取り付ける。
b) a)の状態を保持できるよう、つり下げ具に取り付ける。
c) 筒上方からメスシリンダーで測った水1000cm3を手袋内に満たす。
d) 室温で、そのまま2分間経過したとき、手袋からの水漏れの有無を目視によって調べる。


備考1.
ピンホールの目視検出を容易にするために、手袋の材料を損なわないような染料を使用し、水を着色してもよい。

備考2.
手袋の小さいサイズの試験の場合、手袋内に水が満たされた状態ならば、筒内に水が残っていてもよい。

8.3 引張試験


8.3.1 試験の一般条件
試験の一般条件は、JIS K 6250による。

8.3.2 試験片の作製
8.3.3及び8.3.4に用いる試験片は、JIS K 6251に規定するダンベル状3号形又は6号形試験片を用い、通常手袋の長さ方向に、手袋の手首、甲又はしょう部の平滑面から打ち抜くものとする。

8.3.3 老化前の引張強さ及び切断時伸び
JIS K 6251に規定する方法によって行う。ただし、引張速度は、200mm/minとする。

8.3.4 老化後の引張強さ及び切断時伸び
JIS K 6257に規定する方法によって行う。ただし、試験温度は70℃±1℃、試験時間は連続168h_02hとする。

9. 滅菌処理
滅菌した手袋は、無菌性を保証して供給しなければならない。

10. 包装
滅菌した手袋は、1枚または1双のユニット包装をしなければならない。

11. 表示
手袋のユニット包装(最小包装単位)には、次の事項を表示しなければならない。
a) 名称
b) 呼び番号又はその呼び
c) 主材料
d) 形状又はその略号
e) 表面仕上げ又はその略号
f) 滅菌また未滅菌の別
g) 製造番号又はその略号
h) 製造年月又はその略号
i) 製造業者名又は輸入業者名及びその所在地
j) 原産国
k) 数量(入数)
l) ”使い捨て”又はISO 70001051に規定するAの表示
m) 使用上の注意事項


備考
少なくとも滅菌に関しては、次のような事項を記載しておく。


滅菌品については、”この包装が開封されるか又は傷付けられるまでは滅菌”
関連規格
JIS T 9107 : 2000 使い捨て手術用ゴム手袋
JIS T 9108 : 1955 医療用指サック
ISO 10282 : 1994 Single-use sterile surgical rubber gloves
ISO 11193 : 1994 Single-use rubber examination gloves-Specification
ASTM D 5250 : 92 Standard Specification for Poly(Vinyl Chloride) Gloves for Medical Application
FDA § 800 : Patient examination gloves and surgeons' gloves ; sample plans test method for leakage defects :; adulteration
EN 455-2 : 1995 Medical gloves for single-use-Part2 : Requirements and testing for physical properties